観察する少女

目ン玉をギュンとまわして深呼吸。よこになっておちついて、よおくよおく目をこらす。


 そいつはいっけん、弱っちい。人の形はしてるけど、いちどだって一人前にあつかわれやしない。
 いつもぼんやり、窓の外。きっとあたまの半分は、ネコといっしょに昼寝中。そのくせときたまとつぜんに、砂場にうちあげられた金魚みたくうらめしそうな顔してる。


 ここで急に立ちあがり、口笛ふきふき彼女はけんけんで部屋を出ていった。だからこの日記は十五才と一日目のままである。


(2002年 500文字の心臓 タイトル競作投稿)